ボイトレをする上で知っておくべきこと ~内喉頭筋群とは~

初めに

ボイトレをしていると、多くの人が

「とにかく高い声が出したい!」
「ミックスボイスが出せるようになりたい!」
「プロのような声が出したい!」

と、手当たり次第に具体的な練習に入ろうとします。

しかし、その考えははっきり言ってとても危険です。

なぜなら「高い声を出す方法」「喉を開く方法」といった情報がネット上には溢れかえっていますが、それらの練習は「誰かにとってはうまくいくもの」でしかなく、あなたにとっては逆効果だということも往々にしてあるからです。

腕相撲の大会に出ようと思ったら、腕の筋肉を鍛えますよね?

喉の筋肉の知識がない状態で手当たり次第にボイトレをしている方々は、気づかぬうちに「腕相撲の大会に出るのに足の筋肉ばかりを鍛えている」状態になっていることが非常に多いです。(喉の中は直接見ることができないため、間違いに気づくのが難しいです。)

こんな状態では歌がうまくなることはありません。

さらに厄介なことに、自分に必要でないトレーニングは歌に悪影響を及ぼしてしまいます。

「歌うときは声帯閉鎖を意識しましょう。」というのはよく耳にしますし、これが有効である場合もたくさんあります。

しかし、声帯閉鎖が過剰な状態でそれを意識すると、声がどんどん出しにくくなってしまいます。

自分に必要なトレーニングを選ぶためには、喉の筋肉たちがどのように働くのかをまず知る必要があります。

漢字ばかりで難しいかもしれませんが、名前を正確に覚える必要はありません。

初心者には少しとっつきにくい内容かもしれませんが、安全に上達するには必要なものですので気軽に学んでいきましょう!

内喉頭筋群(ないこうとうきんぐん)

喉仏ってありますよね?

これを喉頭(こうとう)といいます。

ボイトレにおいて喉頭の内側の筋肉と喉頭を吊っている外側の筋肉の両者を鍛える(しなやかに動かせるようにする)ことが非常に重要です。

この喉頭の内側の筋肉たちを総称して内喉頭筋群といいます。

まあ、簡単に「喉頭の内側に筋肉があるんだなあ。」と思ってくれれば問題ありません。

下記が内喉頭筋群になります。

はい、意味が分かりませんね(笑)

すべての名前を覚える必要はないのですが、この筋肉たちは①地声系の筋肉②裏声系の筋肉と、大きく2つに分類できるということと、そのなかでも異なる役割があることを知っておいてください。

①地声系の筋肉

まずは地声系の筋肉。

地声系の筋肉は大きく3つの異なる筋肉からなります。

内甲状披裂筋(ないこうじょうひれつきん)

内筋(ないきん)声帯筋(せいたいきん)といったようにも呼ばれます。

声帯の内側の部分で、ここが働くことで声帯が厚くなり、声も厚くぶよっとした感じになります。

高い声を出していると声がか細くなってしまう方や、すぐに枯れてしまう方はこの筋肉がうまく働いていないというパターンが多いです。

というか、ほとんどの現代人はこの筋肉がきちんと機能していないといわれています。

健康的に高い声を出すためにも必須の筋肉となります。

外甲状披裂筋(がいこうじょうひれつきん)

外筋(がいきん)とも呼ばれます。

声帯の外側の太い部分で、声帯を閉鎖する筋肉のサポートをします。

ただ、この筋肉を動かすことはさほど難しくありません。(特に男性は)

エッジボイスってご存じですか?

呪怨みたいな「あ"あ"あ"あ"あ"~」といったじりじりした声です。

この声を出しているときは外筋が働いているといえます。

こういった声って、朝寝起きの時とかに不意に出ませんか?

このように、意識しなくても勝手に動いたりするので、ここを鍛えることは内筋と比べたら必要性が薄いことが多いです。

むしろ、声帯閉鎖が過剰な状態でこちらを鍛えてしまうと、どんどん声が詰まってしまい危険です。

(余談ですが、エッジボイス+裏声=ミックスボイス というのは本当にやめたほうがいいです)

閉鎖筋群(へいさきんぐん)

閉鎖筋(へいさきん)披裂筋(ひれつきん)と呼ばれたりします。

声帯を閉じるという働きをします。

ここで、「さっきの外筋とは何が違うの?」と、疑問を持った方もいると思います。

簡単に言うと、外筋→繊細な操作 閉鎖筋群→大雑把 みたいな感じに思ってもらって結構です。

ただ、これらの閉鎖筋は、ボイトレという面からみるとあまり鍛える必要はないというのが僕の見解です。

ただ、エッジボイスは出せたほうが良いので、そこだけ出来たら完璧です!

歌の表現の幅が広がります!

②裏声系の筋肉

次に、裏声系の筋肉です。

こちらは2つの筋肉からなります。

輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)

ボイトレをやっている人は一度は聞いたことがあるような、有名な筋肉です。

前側についてるので前筋(ぜんきん)CT筋(Cricothyroid muscle)とも呼ばれます。

声帯を薄く引き伸ばす働きがあります。

そのため、高い声を出したり、音程を合わせていく際に要となるような筋肉です。

僕は、この筋肉を鍛えることが、現代のボーカルが持っている悩みを解決するためには一二を争うくらいに大切だと考えています。(それだけになってしまうのはダメですが)

甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)

声帯を開く働きがあるため開大筋(かいだいきん)、後ろ側にあるため後筋(こうきん)とも呼ばれます。

こちらの筋肉を鍛えることも、前筋を鍛えると同様に重要です。

また、こちらを鍛えるための有名な方法として裏声の吸気発声というものがあります。

こちらは、独学の救世主と呼ばれるほどに良いトレーニングになります。

理由は、間違えた発声になりにくいことがあげられます。

ただ、こちらもやりすぎてしまうと声帯が開きやすくなりすぎて、高音で踏ん張れなくなってしまったりします。

ボイトレはバランスが命。

裏声地声まんべんなく鍛えていきましょう!

まとめ

【今回のポイント】
・内喉頭筋群は「地声系」と「裏声系」に分けられる
・地声系は声帯を厚く・強くする働き、裏声系は声帯を薄く・伸ばす働きを持つ
・偏らず両方をバランスよく鍛えることが、自由で安定した発声につながる

いかがでしたか?

難しいしつまらないという方がほとんどかと思います(笑)

でも!でも!こういったものがあるというのはやはり知っておいたほうが良いです。

こういった知識があるだけで、トレーニングの際の「納得感」が違ってきます。

具体的に何のためにどこを鍛えているのか、これがわかるともっとやる気が出てくると思います!

これとは別に、実は「喉頭懸垂機構」というものも知っていてほしいんです。

なので、次はそちらの記事でお会いしましょう。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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